WEBを使った女性転職支援、各種WEBサービスを展開するIT企業、株式会社ゼロベータ。夜のお仕事をされている女性は、その仕事への偏見から昼間の仕事に転職することが難しいといわれています。そんな女性たちの駆け込み寺的な存在として高い知名度を誇っているのが同社です。そんなビジネスを牽引する代表取締役 日詰宣仁氏にお話を伺いました。

株式会社ゼロベータについて

――はじめに、株式会社ゼロベータについて教えてください

風俗や水商売といった、いわゆるナイトワーク。夜のお仕事をされている女性が「そろそろ年齢的に卒業したいな」ってなった時に、いわゆる普通の昼間の仕事を紹介するセカンドキャリア支援サイト『昼職コレクション』を運営している会社です。

実は、最初からこういうサイトを運営していたわけじゃないんですよ。会社を立ち上げた最初の3年近くやっていたのは、逆にお店のほうに女の子を紹介するサイトでした。

僕はもともとユニクロで店舗マネジメントなどを任されていた経験があるのですが、面接ってムダが多いんですよね。正直な話、採用するかしないかは面接の最初の数分で決まっている。でも、すぐに面接を終わらせるとクレームになるから、身のない話を30分したりする。双方にメリットがない。だから、夜の仕事に興味がある女の子をサイトに登録させて、お店のほうがスカウトするというサービスを作りました。ニーズはあったんです。でも、いろいろあって収益化が難しかったですね。

それで、ユーザーの課題をヒアリングしている中で、「たしかに夜のお店は探しているけど、いつまでもこういう仕事をやっているわけにはいかないよね」という女の子が多いことに気がつき、また、そういった女の子の就職を支援している会社もないことが分かりました。

誰もタッチしていない領域で、かつユーザーはものすごい課題を感じている。そこにいかに市場をつくっていくかは、僕らのようなベンチャーこそやるべきだと思って、そこから事業の方針を切り替えて現在に至る感じですね。
 

――事業において大切にしていることは何ですか?

本気度です。僕たちのお客様である女の子たちは、いろいろな大人たちを見ているわけで。そのような女の子たちから信頼を得ることが、このサービスでは本当に大事なことだと思っています。同じようなことをやっている会社は他にもあるのですが、根拠はないですけど、本気度ではウチのサービスが一番ですよ。

正直に言うと、サービス自体に他社との差別化ポイントなんてないんですよ。でも、本気度なら負けません。これを武器にしています。僕はいろいろな経営者の方と会って話をするのが好きなのですが、1つの分野で勝っている会社に共通しているのは、実行力と連携力だと思うんですね。この2つを生み出すために、社員全員で本気で取り組んでいます。
 

そして、ビジョンを持った経営へ

画像: そして、ビジョンを持った経営へ

――御社の「理念」とは、ズバリ、何ですか?

「夜の女の子たちの昼職・転職を応援する」というところですね。これが、僕たちのミッションであり、僕たちがやりたいことです。綺麗事を言いたいわけじゃないですけど、悩んでいる女の子から相談を受けることが単純にうれしいし、ウチのサービスを通じて昼間の仕事に転職して感謝されることに、手応えを感じているんですよ。「今度、こういう仕事を任せてもらえることになったんですよ」「すごいやん」みたいな会話もたくさんあって。昼間の仕事に転職してすごく活躍している女の子も出てきています。

僕自身やウチのサービスが社会から求められている、誰かの役に立っているということが、手応えとしてあるんです。だから、やりがいを感じています。その対価としてお金が入ってくるので、うまく社会の歯車とはまった感覚はありますね。

今の日本で、夜の仕事をされている女性は、30万~50万人いると言われています。僕は、ユニクロ時代に、女性の能力の高さをたくさん目の当たりにしてきました。さらに、夜の世界は頭が良くないと生き残れませんから。彼女たちは高い能力を秘めた優秀人材でもあるんですよ。しかし、「夜の世界出身」というイメージが彼女たちの未来を妨げている。これは解決すべき問題なんです。

今、日本は労働力を増やすために、障がい者の就職支援とかいろいろやっていますよね。僕は、夜の世界で働く女性の昼間の仕事への転職支援は、人材発掘の最後の領域と思っています。この問題ときちんと向き合うことで、僕たちにもバリューが生まれているんじゃないでしょうか。
 

――この『理念』には、どうやって行き着いたのでしょうか

「自分たちが世の中からバリューを感じてもらえるかどうか」。僕はこの観点にこだわっています。理由は、僕がユニクロを辞めようと思った経緯にも関係します。

もともと僕は、「いつか自分の会社を持ちたい」と考えていて、その夢の実現に役立つ経験を積むために、ファーストリテイリングに入社しました。別に服に興味はなかったんですけどね(笑)。海外にもすぐ行かせてもらえましたし、数十名から百名規模のお店のマネジメントをやらせてもらえて。本当にいい経験を積ませていただけたと思います。

ユニクロ在籍時の最後、僕は東京本社で全国の在庫を管理する部署にいました。割と重要な部署で、割と重要な仕事を割り振られていたんです。でも、業務量が多すぎて、体調を崩してしまって、産業医から2ヵ月休職するように言われました。

で、急にヒマになった。だから、今まで忙しくて読めなかった本をいろいろ読んだんです。そうしたら、世の中には、クラウドファンディングとか、クラウドソーシングといったものが出来ていて、すごい時代になっていた。恥ずかしながら、当時の僕は何も知らなかったんですよ。

僕が世の中のことを何も知らなくても服は売れていく。ここに、僕はすごい危機感を覚えました。5~6年一生懸命にやってきて会社から評価もされてきたけど、それは「ユニクロで服を売ることに長けていた」だけ。独立して1人のビジネスマンとして生きていこうと考えたとき、僕には何のバリューもないと思ったんです。

極めつけは、2ヵ月休んだ元の部署。僕がいないと回らないと思っていましたが、僕が休んでいる間、僕がやっていた仕事はみんなで分担して回していて。自分の仕事は代替えがきくものだったと気がつかされました。こういう経験が、「自分の価値って何だろう?」と、考えるいい機会になって、「ユニクロという看板がなくてもやっていけるようにならないとダメだ」と感じたことが、僕に退職を決意させました。

その後に、いろいろ挑戦と失敗があったのですが、「自分たちが世の中からバリューを感じてもらえるかどうか」は、ずっと1つの判断軸になっていますね。
 

ビジョンを持った今、感じていること

画像: ビジョンを持った今、感じていること

――理念を仕事に落とされてみて、いかがですか?

ブレない軸があるのはいいですね。「夜の女の子たちの昼職・転職を応援する」を決める前と決めた後では、悩むことも迷うことも少なくなったと思います。

夜の仕事をされている女性の中には、9時~18時という時間帯で働けない人たちがいます。シングルマザーの方とかですね。事務スキルがあれば、派遣という選択肢もあるのですが、持っていない人も多い。では、この人たちは何ができるかというと、営業が出来るんです。

商材を売ってきてほしい会社さんはたくさんあります。この人たちとフルコミッションの営業職って、実は相性がいいと思いませんか。フルコミなら9時~18時という時間帯に縛られる必要はありませんから、9時~12時でも、9時~15時でも働けます。

このように、本人たちが自分はどんな仕事に向いているか気が付いていない、雇用側が求職者の真価を分かっていない、といったケースは多々あると思っていて。その誤解を解いて、両者のマッチングを増やしていきたいという思いがあります。

この仕事にシフトしてから感じるのは、いろんな人たちから応援していただけるということです。自分たちは正しいことをしていると思っている。僕たちの仕事を知った人たちも「意義のある仕事ですね」と言ってくれて、お客様を紹介してくれる。ユーザーである女の子も「日詰さん、私の友だちも困っているからお願い」ってお客さんを呼んでくれる。正しいエネルギーが働いているというか、いいスパイラルが生まれているのはいいですね。
 

ビジョンの実現に向けて

――最後になるのですが、今後の展開について教えてください

今、僕たちが『昼職コレクション』を展開しているのは、あくまでも大都市圏だけなんです。もっと地方で夜の仕事をしている女性たちを支援するフランチャイズ店、代理店を増やしていきたいです。実は、すでにいくつかの業務パートナーがいます。このサービスは間違いなく地方にもニーズがあるはずなので、どんどん広げていきたいですね。

画像1: ――最後になるのですが、今後の展開について教えてください

僕は、仕事を紹介することが女性の社会進出支援とは思っていないんです。住むところだったり、結婚だったり、夜の世界で働いていたという過去があるせいで上手くいかないことって他にもいろいろあると思っていて。今の社会にある偏見と向き合ってサービスを広げていきたいです。リクルートを例に出すと、『リクナビNEXT』があり、『SUUMO』があり、『ゼクシィ』があり…といった感じですね。いろいろな角度から女性の社会進出を支援していきたいという構想があります。

少し話がずれるのですが、やはり、夜の世界に対する偏見とは向き合っていかないといけないと思っていて、「日本水商売協会」を立ち上げました。僕は副理事的な立場なのですが。

偏見と向き合って、見え方を変えていくには、働く人自身が、お店自体が、意識を変えていかないといけないと思います。そういう活動をしている団体です。でも、名前に「水商売」と入っているだけで、金融機関が口座を作らせてくれないんですよ。偏見って根強いし根深いなぁと思いますね。

女性の社会進出を支援する活動の一環として、女性の起業家を増やしていきたいとも考えています。LINEやInstagramを見れば分かるように、女性には新しいものを生み出す資質がある。夜の仕事をされていた女性は頭がいいですし、自分をアピールする能力にも長けているので、起業家に向いていると思うんですよ。具体的には、2030年までに100名の女性起業家の誕生、そのうち10社を上場させたいです。

ただ、仕事を紹介するだけではなく、相談に乗りながらいろいろな角度で支援していく。そういう体制になってこそ意味があると思っています。

画像2: ――最後になるのですが、今後の展開について教えてください
画像: ナイトワーク女性が当たり前に昼職で活躍できる社会を作る。
株式会社ゼロベータ 代表取締役 日詰 宣仁 氏のインタビュー

株式会社ゼロベータ

住所:東京都新宿区西新宿7-17-14
設立:2014年1月
代表:代表取締役 日詰宣仁
URL:https://zer0beta.jp/

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