SENTOEN。このユニークな社名は、最初にチャレンジしたサービス「銭湯」と「縁」、そして人と人を結ぶ「線」から「円」が生まれることをイメージされているそうです。会社が掲げるミッションは「コミュニティを紡ぐ」。志を同じくする人たちが集まれる場所をつくり、昔からある業界の仕組みを今風にアップデートすることでいろいろな可能性を作り出していく。そんな思いを抱く、株式会社SENTOEN 代表取締役・CEO 山口大介 氏にお話を伺いました。

株式会社SENTOENについて

――はじめに、株式会社SENTOENを設立した背景を教えてください

端的に言うと、自分たちが面白いと思ったビジネスを自分たちの手で作ってみたくなったからです。経緯をご説明させていただくと、僕が以前働いていた会社はBCG デジタルベンチャーズと言いまして、クライアント企業の課題に対して、デジタルなソリューションを使いながら新規事業を一気通貫でサポートするようなことをしておりました。

それだけだったら他のコンサル会社と変わらないのですが、BCG デジタルベンチャーズの面白いところは、提案した企画でGOサインが出たら、そのまま共同出資をして、合弁会社(ジョイントベンチャー)を作るところ。そしてメンバーが、共同出資して作った会社の社長になるんです。

提案したソリューションが本当に有効かどうか、自分の手で試してみるといいますか。このベンチャーのシミュレーションができるところに僕は惹かれたんですね。

自分でイチから起業するのとは、全然違うんですよ。何が違うかというと、ナショナルクラスのクライアントさんがメインだったので、彼らの巨大なアセットと資本力で戦いを始めることができるのです。貴重な成功体験を積ませていただいたと思います。

ただ同時に、自分だけで挑戦してみたい――そんな思いに駆られたことが、この会社を設立した理由ですね。
 

ビジョンと、ビジョンの実現について

――御社のビジョンについて教えてください

ビジョンと言っても、実は今の段階では明確に決まっていないんですよ。ただ、テーマは決まっています。それは「コミュニティの創造」です。

周りでも多くの起業家とよく会う機会がありますが、明確に持っているところはかなり少ないように感じます。同じく大企業になっていったベンチャーも最初からかっちりハマっていたというよりも、もっとぼやっとした、バリューや価値観の同じ人たちだけ集めて何ができるかを考えていったというフェーズがあったと思います。僕たちの会社がまさに今、そういう段階です。

だから、きちっとしたビジョンはこれから固めていく段階なので、今はミッションである「コミュニティを紡ぐ」を実践しているところですね。

歴史に名を残す商品やサービスって、1人で作られたということはあまりなくて、誰かと誰かが出会って、その化学反応で生まれることが多いって言いますよね。僕たちがやりたいことは、そういう意味での「出会い」の機会をつくることです。それぞれが集う場を創出し、コミュニティにおける場の価値を最大化することで、社会の接点を紡いでいきたいと考えています。
 

――大切にされていることを、どう実行に移されたのですか?

最初にチャレンジしたのは「銭湯」の運営でした。社名のSENTOENは「銭湯」と「縁」から取っているんですよ。

前の会社を辞めた後、いろいろな国を旅しました。「今の日本にないものは何か」を探したかったからです。1つ、探し物を見つけるヒントは持っていました。それは「居場所」です。

日本人って、会社と自宅以外の居場所を求めている人が多いと僕は感じていて、居場所がない人が多いという印象を持っていたんですね。海外だったら宗教が第三の居場所を作っているのですが、日本にはそれがありません。そんなことを考えながら旅を続けて、イタリアに行った時ですね。映画『テルマエ・ロマエ』に出てきた巨大風呂と出会ったんです。「これだ!」と思いました。

日本には「銭湯」がありますよね。それでいろいろ調べてみました。すると驚くべきことに、日本って今、1週間に1店のペースで銭湯が店終いをしているんですよ。もう全国に4000店もないと言われていて。でも利用者の距離の近さを考えたら、銭湯がちょうどいい広さなんです。

でも、日本ではもう銭湯が求められていない。この問題を「コミュニティという価値」で解決できるんじゃないかと考えました。

さすがにイチから銭湯を作ることは難しかったので、今銭湯をやられている方からお借りするカタチでスタート。結構、面白いものが作れて、話題をつくることもできたんですよ。一定以上の成果は出せたと思います。ただ、僕たちが目指していた「世の中の役に立てる大きなインパクト」という点では弱かった。その反省点を活かして、次は飲食の分野に挑戦することにしました。
 

画像: ――御社のビジョンについて教えてください

――それが、シェアキッチン「Kitchen BASE」なんですね?

そうです。「Kitchen BASE」は、約20坪の広さのシェアキッチンで、それぞれ独立した4つの厨房設備、調理機材、コミュニティースペースを提供するものです。日夜で2回転させることを想定していて、日中は複数のデリバリープラットフォームを活用した即席デリバリー向け店舗を運営。夜中から早朝にかけては、宅配弁当・仕出し弁当サイトからの予約デリバリーの仕込み場所として運営していこうと考えています。

…と言ってもよくわからないですよね(笑)。
カンタンに言うと、「飲食店を経営したい」という人向けに作った施設です。

飲食店って、生き残るのが本当に大変なのをご存知ですか。オープンに漕ぎつけても、1年で3割のお店が潰れていて、10年後に残っているのは1割くらいと言われていて。脱サラして、ずっと夢だった自分のお店を持って、でも経営に苦しんで、誰にも相談できないまま、お店を畳んで、大きな借金を背負ってしまう。そういう人が本当に多いんですよ。

なんでこんなことが起きてしまうかというと、飲食業って「試す」機会がないのに、初期投資が高すぎるから。では、初期投資を抑えられる場所を作ったらどうか?そんな発想から「Kitchen BASE」は生まれました。

飲食店の開業を考えている人たちに対して、「まずは、お店を持たずに、デリバリーから始めてみませんか?」というアプローチなんです。調理に必要な設備とデリバリーの仕組みというご用意したものを利用していただく、という感じですね。

少し前に、インターネット系のサービスって爆発的に広まったじゃないですか。あれって、初期投資が少なくて済むからなんです。リスクが少ないことが「やってみたい」という気持ちを後押ししたんですね。失敗して消えていったサービスも多いですが、投資額が少なくて済むから、その反省点を活かして再びチャレンジできたというわけです。僕たちはそれを飲食業界にトレースできないかと思っています。

シェアキッチンだから、すぐ隣では同じように開業を考えている人が料理しているわけですよ。境遇も似ているから、いろいろ話す機会もできるじゃないですか。悩みごとの相談をするかもしれないし、サービスのヒントを貰えたり、コラボレーションといった化学反応が起きるかもしれない。そういう場所になればいいなと思っています。

だから、銭湯経営からまったく別の分野に手を出したように見えると思いますが、「コミュニティを紡ぐ」という点では何も変わっていないんですよ。
 

ビジョンの実現に向けて

画像: ビジョンの実現に向けて

――最後に、今後の展望についてお話しいただけますか?

「Kitchen BASE」を起点にして、「日本の飲食をアップデートしたい」と考えています。僕は、飲食店で働く人たちの働き方をアップデートさせたいんですよ。

飲食業って、自分のお店を持つと、そこに根付かないといけない面があるじゃないですか。それ自体は全然悪いことじゃないんですけど、別の場所でお店を開ける可能性を奪っている側面もあると僕は思っていて。ここは、もっと自由になってもいいと思うんです。

例えば、東京にお店を持っている1人シェフが、北海道産の鮭を使った料理に興味を持ったら、「KitchenBASE」の仕組みを使って、「俺、ちょっと北海道で、新しい店にチャレンジするわ」ってことができるようになる。海外で勝負したいって人の手助けもできる。その逆で、海外の人の「日本でお店作りたい」って思いにも応えられる。

今までは、ある程度の資金がないと不可能だったいろいろなことが、この仕組みによって、手軽に挑戦できるものになっていく。ワクワクするし、いろいろな化学反応が起きそうですよね。

それに、デリバリーって、びっくりするくらいデータが取れるんです。リピート率の高いA商品、リピート率の悪いB商品とか、すぐに分かる。そのデータをもとにB商品はやめて、新しくC商品を作る。数字をもとに、どんどん回すことができます。

でも、個人経営のお店で、こういうことができているところって、たぶん、あんまりないと思っていて。なので、そのノウハウの提供も僕たちの商品になっていくかもしれません。

「Kitchen BASE」はまだスタートしたばかりですが、5年で全国に100店舗は作っていきたいです。最低でもそれくらいの数がないと、業界にインパクトを与えられないと思うので。

僕たちがやろうとしていることは、飲食業界にイノベーションを与える…というよりは、飲食業界のリノベーションだと思っています。ずっと続いている仕組みを今の時代に合わせて、ちょっと変えて便利にしていくというか。同じような志や夢を持っている人たちが、いい意味で刺激し合い、協力し合える環境を作っていきたいですね。

画像: ――最後に、今後の展望についてお話しいただけますか?
画像: 飲食をアップデートさせる。
株式会社SENTOEN 代表取締役・CEO 山口大介 氏のインタビュー

株式会社SENTOEN

住所:東京都渋谷区恵比寿1-19-1
設立:2018年4月25日
代表:代表取締役・CEO 山口大介
URL:https://1010en.com/

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