世界一マグネシウムを愛する男。宮本製作所 代表取締役 宮本社長。宮本製作所はもともとは主に自動車部品を製造する金属加工の会社でしたが、マグネシウムの可能性を追求し洗剤を使用せずに洗濯を可能にする洗たくマグちゃんを発売して以来、100万個を超える大ヒットを続けています。マグネシウムで世界を変えることを目指し、今も新たな取り組みに挑戦し続ける宮本社長に、ビジョンを思い描くことの大切さをお話しいただきました。

マグネシウムで世界を変える!

浅野:あらためて宮本製作所がどのような会社かご紹介いただけますでしょうか。

宮本:宮本製作所を一言で表現すると「マグネシウムで世界を変える会社」です。2003年にマグネシウムの性質を利用して洗剤を使わずに衣類などの洗濯を可能にする「洗たくマグちゃん」を発売して以来、赤ちゃん向けの「ベビーマグちゃん」やお風呂の塩素を除去する「バスマグ」など、マグネシウムという無限の可能性を秘めた素材を使った商品を次々と打ち出しています。マグネシウムの力で人の生活を豊かにしたいというのが私の想いです。

浅野:初めて宮本社長とお会いしたのは3年ほど前でしたね。広報関係の会社が主催するPRイベントの一分間スピーチで宮本社長が「マグネシウムで世界を変える」と、今と変わらないメッセージをお話しされていたのを鮮明に覚えています。また「売上げ1000億円を目指す」ともおっしゃられていましたよね。相当なインパクトでした。

宮本:そのスピーチで「私と一緒に世界を変えようという意欲をお持ちの方は是非私と組みませんか」と呼びかけたのですが、手を挙げてくださったのは浅野社長だけでしたね。

浅野:たしかに周りの皆さんキョトンとされていて、突拍子もないことのように感じている方が多かったように思います。私も初めはあまりに壮大な話だったので驚きましたが、熱くビジョンを語られていた宮本社長の姿を見て信念のようなものを感じ、何か協力できることがあればと思わず手を挙げていました。

宮本:あのとき浅野社長が手を挙げてくださったのは本当に有難かった。自分で語ったビジョンは必ず実現すると確信していましたが、やはり夢に賛同してくれる理解者が欲しいという気持ちはあったのです。本当はもっと夢を語りたいと思っていたところに浅野社長が手を挙げて共感していただけたことが私にとっての救いになりました。

成功の秘訣は壮大なビジョン

浅野:私こそ夢を持つ大切さやビジョンを語る大切さを宮本社長から教えていただき、感謝しています。こうしてあらためてお話を伺うと、当時語られていた夢を着実に形にされておられますね。失礼ながら、当時はまだそこまでの事業規模ではなかった中、自信を持ってビジョンを語られていたのには、何か理由があるのでしょうか。

宮本:ビル・ゲイツ氏も成功の秘訣は何かと問われたとき「どれだけ大きなビジョンを持てるかだ」と言っています。私も、マグネシウムに秘められた可能性を引き出していけば必ず世の中に役に立つ商品を創り出すことができ、世界を変えることができると確信を持っていました。

浅野:大きなビジョンを掲げ、それを言葉にして、実現に向けて行動し続けてこられているからこそ現在の成功に繋がっているのですね。

宮本:周りの人に何と言われようと、批判を恐れずにビジョンを掲げてきたからこそ、現在の宮本製作所があると思っています。

世界一マグネシウムを愛する男

浅野:宮本社長のようにマグネシウムを必ず社会の役に立てると熱く語られる方は他にいないですよね。

宮本:私ほどマグネシウムを愛している男はいないと思います。ビジネスを成功させるためには商品や事業自体に愛を持たなければなりません。

浅野:理屈ではなく純粋に気持ちが入っていないと周りは誰もついてこないというのは、私も同じ経営者として実感しています。

宮本:好きな人ができたら毎日その人のことが頭を離れないのと同じで、頭の中は常にマグネシウムのことでいっぱいなのです。「マグネシウムを枕に使ったらどうなるか」、「もっと皆さんに喜んでもらえるような使い方があるんじゃないか」といったことをいつも考えています。発想のすべてがマグネシウムに繋がっているのです。

浅野:マグネシウムへの愛と、それを社会に役立てたいという強い想いが、次々に斬新なアイデアを生み出されている源泉なのですね。そのような熱い想いをお持ちの宮本社長がマグネシウムに出会ったきっかけは何だったのでしょうか。

宮本:宮本製作所は1965年に父が創業して以来、主に自動車部品の製造を手掛けてきたのですが、2003年に亡くなった父の後を継ぎ、54歳で社長に就任した際に、下請けから脱却しなければならないと思うようになりました。周りの同業他社は毎年のようにメーカーから原価低減協力のお願いという名目で厳しい値下げ要求にさらされている会社ばかりだったからです。

我が社は下請けといっても他所ではできない難しい仕事を選んできたため値下げに応じたことは一度もありませんでしたが、今はよくても将来的にはいずれジリ貧になるという焦燥感がありました。そこで自分たちで商品の値付けをすることができるメーカーになりたいと考え、目をつけたのが軽量で強度の高いマグネシウムだったのです。

洗たくマグちゃんの開発秘話

浅野:なるほど。そういった背景からマグネシウムを使った商品開発に着手されたのですね。

宮本:マグネシウムに特化することを決めて初めに作った商品はゴルフのパターでした。ところが、試作品を展示会に出展したところ、軽すぎてダメだと言われてしまいました(笑)。私はゴルフをやらないのでその感覚が分からなかったのです。軽ければいいというものではないことを知り、マグネシウム素材のパターは素直に諦めました。パター以外にもいくつものマグネシウム素材の商品を作りましたが、なかなか上手くいきませんでしたね。

浅野:何種類くらい作られたのですか。

宮本:10種類以上は作ったと思います。試行錯誤を重ねた結果、数が出る日用雑貨を作りたいと考えるようになりました。そこで辿りついたのがマグネシウムの性質を洗濯に利用する「洗たくマグちゃん」だったのです。

浅野:そんなにたくさん作られたのですか。マグネシウムを洗濯用として活用しようというアイデアはどのように生まれたのでしょう。

宮本:洗濯のアイデアが生まれたのは本当に偶然でした。マグネシウムを加工するときに切り粉がたくさん出るのですが、マグネシウムの粉を入れておいた水の中に手を入れると油汚れがよく落ちることを発見したのです。水がマグネシウムと反応することでアルカリイオン水に変化し油脂分を分解してくれるという原理なのですが、これを洗濯に使ったら健康や環境に配慮した素晴らしい商品ができるのではないかと考えました。

マグちゃん成功までの苦労

浅野:マグちゃんの開発にあたってはご苦労されたこともあったのではないですか。

宮本:初期の段階ではマグネシウムの粒を入れるネットに百円ショップの洗濯ネットを使用したのですが、その洗濯ネットには脱色するためにホルムアルデヒドが使われていることが判明しました。ホルムアルデヒドは発がん性物質として海外では使用が禁止されていますが、日本では口に入れるモノ以外での使用は認められているのです。

ホルムアルデヒドが使われていないメッシュ素材を探したところ旭化成さんのフュージョンという素材に辿りつきました。ただ、そこでコストの壁にぶつかります。フュージョンを使うと原価が高くなりすぎて利益がほとんど出なくなってしまうことが分かったのです。

浅野:それは非常に難しい選択ですね……。

宮本:その晩は本当に悩みましたよ。一晩かけて考え抜いた結果、人に優しい本物の商品を作りたいのに本物の素材を使わないでいい訳がないと思い、翌朝一番で電話してフュージョンを使うよう指示を出しました。そのときの決断に救われているように思います。正しい決断をしたことで自信をもって全ての人に使ってもらいたいと心から思える商品ができました。

浅野:宮本社長のお人柄どおり真っ直ぐな決断が本物の商品を生み出したわけですね。商品が完成してから売れ行きはいかがでしたか。

宮本:マグちゃんが完成したときはノーベル賞が取れるんじゃないかと思うくらいワクワクしたのですが……、私の期待と裏腹に最初の2年間は全く売れなかったのです。日用雑貨の販売ノウハウを持っていませんでしたし、ドラックストアに持ち込んでも何の実績もなかった我が社の商品は取り扱ってもらえませんでした。

画像: マグちゃん成功までの苦労

可能性からの発想

浅野:当時、苦労されていたことはよく存じ上げています。会社の財務状況も大変な時期だったと思いますが、そういった苦しかった状況をどのように乗り越えられたのでしょうか。

宮本:新しいモノを作り出すときにはデスバレー = 死の谷があって、どれだけ良い商品であっても売れるまでには2~3年かかることをある書籍で学びました。それを乗り越えられた者だけが先行者利益を得られると。今の自分はまさにデスバレーの真っ只中にいるのだから、何とか這い上がっていかなければならないと思い、ありとあらゆることに挑戦しました。

浅野:業績は芳しくなくても、宮本社長には悲壮感のような雰囲気は全く感じなかったことを覚えています。何が心の支えになっていたのでしょう。

宮本:支えていたのは自分の気持ちだけです。私の好きな言葉に、松下幸之助さんの「執念ある者は可能性から発想する。執念なき者は困難から発想する」という言葉があります。私も常に可能性から発想するようにしています。

借金があって、商品がどれだけ売れなくても、数年後には自分が思い描いている素晴らしい会社になっていることを確信していました。根拠はありませんが自信があったのです。だから今の若い人たちにも根拠のない自信でもいいから持てと言っています。うぬぼれていい、大風呂敷を広げろと。

浅野:常にポジティブで自信を持って高い目標に向けて挑戦し続けたことで、困難な状況も克服することができたのでしょうね。

宮本:そうですね。苦しみの先にはきっと楽しさがあるという思いはありました。世の中には一般常識や既成概念にとらわれて出来ない理由をまず言う人がいますが、私からしてみればそんなことは全く関係ありません。既成概念を突き破って破壊的創造をしなければイノベーションは起こせませんから。

浅野:新たな挑戦をしようとすると困難に直面するのは当たり前ですが、それを出来ない理由としてとらえてしまったら何も新しいことは生まれませんよね。

宮本:そのとおりだと思います。だから松下幸之助さんが言う「可能性から発想する」ことが大切なんですね。

浅野:私が以前勤めていた会社でも「いかにすれば可能かを語れ、なぜ不可能かは語る必要がない」という言葉を教わりました。宮本社長がおっしゃられていることはまさに同じ意味だと思います。

しつこいくらいの思いやり

浅野:宮本製作所では経営理念や会社として大事にされていることはありますか。

宮本:経営理念のようなかしこまったものではありませんが、「老婆心を発揮せよ」という行動規範を掲げています。社内のあちこちの部屋の壁に貼ってあり、社員にはこの行動規範を踏まえて行動するようには常々言っていますね。

浅野:この行動規範についても、昔から変わらずにずっと言い続けておられますね。その言葉に込められた想いをお話しいただけますか。

宮本:老婆心というのは簡単に言えば「しつこいくらいの思いやり」です。小さい頃から可愛がって育ててくれた優しい両親や祖父母の影響もあり、誰にかに何かをしてあげることが好きな性格でした。人が何かを欲しがっているのを見ると思わず差し上げたくなってしまうのです。そんな性格だったものですから、父親からは「絶対に儲からないからお前は商売をやらない方がいい」と言われていました(笑)。

浅野:幼少期からの人に何かをしてあげたいという想いを、ずっと貫かれているのですね。

宮本:今でも、アトピーで悩んでいるお子さんをお持ちのお母さんとお会いすると、使ってみてくださいとベビーマグちゃんを差し上げてしまうことがよくあります。相手からは「買わなくていいんですか?」と聞かれますが、無料で差し上げるようにしています。マグちゃんを売りたいのではなく、使っていただいて喜んでもらいたいという想いが強いからです。

浅野:その根底にあるのが老婆心、しつこいくらいの思いやりの心なのですね。

宮本:将来的には日本中の赤ちゃんがマグちゃんの洗濯で育つような環境を作っていきたいですね。そのために会社を成長させて潤沢な資金を用意し、無料でマグちゃんを配れるようになりたいと思っています。

浅野:利他の精神を実現するためにも、その受け皿となる会社を成長させていく必要があるということですね。

宮本:第一段階として2017年に母子手帳を見せてくださった方1000人に出産のお祝いとしてベビーマグちゃんの紅白セットをプレゼントする取り組みを実施し、2018年にはベビーマグちゃんの3個セットを2000人の方にプレゼントさせていただきました。これからの赤ちゃんのためにマグちゃんで洗濯したいという親御さんたちへのプレゼントは続けていきたいですね。

画像: しつこいくらいの思いやり

今後の展望

浅野:3年前に思い描かれていたビジョンはかなり具体化しつつあると思いますが、今後の展望をあらためてお聞かせください。

宮本:おかげさまで、2013年にマグちゃんを発売して以来100万個以上売れており、売上高としては本業の金属加工業の5倍以上にまで成長しました。また、昨年テレビのドキュメンタリー番組で取り上げていただいたことで、驚くほどの反響を頂いています。今後もこの勢いは止まることを知らず、売上げ1000億円を達成するのも夢ではないと思っています。

浅野:着実にビジョンの実現に向けて歩みを進められているのは素晴らしいと思います。どのくらいのスパンで目標の数字は達成できる見込みでしょうか。

宮本:1000億円を達成するのに、おそらく10年はかからないのではないかと思っています。また、マグちゃんを使って衣類を洗濯した際の洗たく水を、農業用水として活用する取り組みも始めました。マグちゃんの洗たく水には窒素やリン酸、カリウムといった有機肥料の三大要素がふんだんに含まれていることが分かっており、農業用水として活用することで安全においしい野菜を育てることができるのです。

浅野:洗濯だけでなく既に農業改革という次のビジョンに向かって取り組みを始められているのですね

宮本:熊本県の農家さんにご協力いただき、マグちゃんの洗たく水で野菜を栽培する実証実験も進めているところです。最初はおいしい野菜を育てることが目的でしたが、マグちゃんの洗たく水を使って農作物を育てることで害虫が寄り付かなくなったという声もいただいています。肥料だけでなく農薬を使わずに除虫・防虫効果が期待できることが分かってきたのです。

浅野:マグネシウムの可能性には驚かされることばかりですね

宮本:本当にマグネシウムは素晴らしい可能性を秘めた物質なのです。この他にも、食事でマグネシウムを摂ることで糖尿病や高血圧のリスクを低減するという研究結果も発表されていますし、アトピー性皮膚炎や水虫など様々な病気の改善や予防にも効果が期待されています。今後エビデンスが取れてきたら、マグネシウムの可能性をもっと広げていきたいですね。

浅野:マグネシウムへの熱い想いをお聞かせいただきありがとうございました。それでは最後に、これからの若者へ向けてメッセージを一言お願いいたします。

宮本:若い人たちに向けて送りたいメッセージは一つ。「Boys be ambitious」。よく「青年よ大志を抱け」と訳される言葉ですが、私は「青年よ野心を持て」という意味でこの言葉を送りたいと思います。「大志」というと真面目すぎてしまうように思うのです。若い人たちにはイノベーションを起こせるような「野心」を持ってほしいですね。ただ、富や名声、我欲のためではなく、社会のため人のために何かを成し得たいという「野心」であってほしいと思っています。

浅野:大きなビジョンを掲げ、その実現に向けて今も取り組みを続ける宮本社長らしいお言葉ですね。貴重なお話をいただき、ありがとうございました。

宮本:こちらこそ、ありがとうございました。

画像6: マグネシウムで世界を変える!
洗濯の常識を覆した大ヒット商品「洗たくマグちゃん」の生みの親 宮本 隆 氏(株式会社宮本製作所 代表取締役) × 浅野 泰生(株式会社MAP経営 代表取締役)対談インタビュー

株式会社 宮本製作所

本社:茨城県古河市水海2393
神田営業所:東京都千代田区内神田3-15-3 ISビル4階
創業:昭和40年4月
代表者:代表取締役社長 宮本 隆
URL:https://www.miyamotoss.co.jp/
マグちゃんオンラインショップ:https://magchan.com/

This article is a sponsored article by
''.